地圏環境インフォマティクスとは

土壌汚染問題をとりまく現状
 土壌汚染問題における自然由来汚染(自然的原因による高濃度の重金属含有土壌)などに関する国土のバックグラウンド値の把握の必要性等から,近年,地圏環境情報の評価に関するとりくみが世界的になされています。我が国においても,道路,鉄道の敷設時における鉱染帯回避やその対策検討などで,これらの把握が重要と考えられています。その一方で,国内において個別機関や民間企業によってなされる土壌汚染に関する調査,研究結果は個別に保管され,全国にわたる詳細なデータシステムが作成され体系化された例は少ないのが現状です。

 土壌中に含まれる重金属をはじめとする汚染物質の種類や環境管理のための基準値は,環境省の環境基準(平成3年環境庁告示第46号,改正平成13年環境省告示第16号。)に示されるとおりです。しかしながら,重金属が物理的あるいは化学的にどのような状態で土壌中に存在するか,その存在形態について,たとえば農用地や市街地の土壌を対象に研究分野ごとの目的に応じた個別の分析はなされていますが,それらの相互関係は明らかではありません。土壌の中に含まれる重金属の形態情報を多角的,広域的に把握するためには,それぞれ分野における個別の検討事例を比較検討し,データベースとして統合する必要性があります。

 さらに,土壌の中に含まれる重金属の分布を正しく知るためには,重金属の発生,移動,堆積といった過程を把握することが重要です。重金属の発生にはたとえば地質や鉱床,地熱や温泉等の影響が考えられ,移動には流水や地形の影響が挙げられます。また,堆積については地形の効果が影響すると考えられます。このように,重金属のふるまいを正確に把握するためには資源や環境問題に深く関わる多くの情報を結びつけ検討する必要があるのです。

本研究の目的
 本研究では,土壌の中に含まれる重金属のさまざまな情報と,地質や地形,土壌,植生,変質帯分布,地下水データといった各種のデータを統合することにより,不足している地圏環境情報を取りだし,それらを利用して重金属の濃度分布や形態情報と地圏環境情報との関係について把握することのできる情報システムを開発することを目指しています。