第1回 超臨界地熱資源の成り立ちと地質モデル,地球物理モデル,水理モデル

超臨界流体の性質と沈み込み帯での流体循環を概説し,超臨界地熱資源の形成プロセスと,成立要件(マグマインプット,マグマ水,シリカシーリングほか)を解説する.


第2回 新しい超臨界地熱探査技術

地熱探査の新しい手法(鉱物の熱発光を用いた地熱探査)および探査情報の統合化のためのQGISプラグインについて解説する.


第3回 超臨界地熱貯留層の形成プロセス

葛根田地熱地帯を例に,鉱物温度計,超臨界―亜臨界地熱貯留層の発達プロセス,また下部地殻での流体流動について解説する.


第4回 超臨界状態での岩石物性と透水性 (脆性-延性挙動と透水性)

岩石の脆性‐延性遷移と浸透性の関係,延性条件下での岩石破壊と高浸透性貯留層の深度・温度条件,水圧破砕による貯留層造成技術等を解説する.


第5回 超臨界地熱資源探査(地震) 超臨界地熱システムの微小地震探査

地熱地域で発生する微小地震の特徴や観測方法を概説し,葛根田地熱地域などを例に,微小地震観測に基づいて地下の貯留層構造や流体挙動を推定する手法を解説する.


第6回 超臨界地熱資源探査(電磁) 超臨界地熱システムのMT探査1

地熱地域の地下構造推定に広く用いられているMT法について,その背景となる理論を解説する.


第7回 超臨界地熱資源探査(電磁) 超臨界地熱システムのMT探査2

MT法比抵抗探査による超臨界地熱システムのイメージングに関して,岩石-間隙水系の比抵抗値,地殻の比抵抗構造の解釈等について葛根田地熱地域などを例に解説する.


第8回 超臨界資源量評価(各論) 東北地方の超臨界地熱システム

東北地方の超臨界地熱資源の特徴について,岩手県葛根田地熱地域と秋田県湯沢地熱地域を例に,地質,物理探査,地化学探査の結果を統合化し,各地域の特徴を解説する.


第9回 超臨界資源量評価(各論) 九州地方の超臨界地熱システム

拡張テクトニクス場の九州中部の九重地域においても,超臨界資源が存在することを解説し,九重地域の超臨界資源の特徴についても説明する.


第10回 探査情報とAI技術 超臨界地熱システム熱構造のAI による推定技術

地熱資源探査におけるAI技術の現状について概説し,探査で得られた各種観測データを基にして,AI技術が超臨界地熱システムの熱構造等の推定にどのように利用可能か解説する.


第11回 超臨界地熱掘削 高温掘削技術、セメンチング、坑井管理

超臨界地熱井掘削において想定される超高温・高腐食環境に対応するための資機材選定,ケーシング設計,坑内冷却,各種坑内作業,仕上げ技術について解説する.


第12回 超臨界流体の地化学モデリング

地化学シミュレーションのための,熱力学データセットの問題点と超臨界領域への拡張と超臨界低密度領域での流体の地化学的特徴について解説する.


第13回 超臨界地熱貯留層評価 資源量評価技術(パラメータ推定)

各種調査・探査結果をもとに超臨界地熱資源の分布や状態を推定する方法について,現時点での考え方やその課題等を説明する.


第14回 環境アセスメント 地域・自然環境の制約条件、現状と課題

自然環境・景観等への配慮や制約条件等、環境アセスメント(環境影響評価)の留意点,地域共生方策について解説する.


第15回 全体システムと地上設備 オーバーオールシステム、開発の方向性

商用超臨界地熱発電実現時に想定される地上・地下システムの概要とその特徴について解説するとともに,それを実現するための研究開発の方向性とブレークスルーについて説明する.