地圏環境インフォマティクスの特徴(2)
GISでは複数の地圏環境マップをレイヤーとして重ね合わせることができます。さらに,個々のマップがもつ固有の属性をおたがいに比較し,相関性の有無や高い相関性の領域を抽出したりすることができます。このような機能を用いることにより,岩石や土壌中の重金属濃度と地質や土質等との関連性を二次元的に把握することが可能です。
左下図は衛星画像を基図とし,GISの空間レイヤー群検索機能によりある特定の地質(中新世後期の女川階の堆積岩類;ここでは女川層と総称する。)と空間的に重なる休廃止鉱山の位置を示したものです。図中のポイントをクリックしてポップアップ表示される表には鉱山の属性(都道府県名,市区町村名,稼行当時の鉱山名称,経緯度,鉱種)が入っています。
また,相関性の有無の解析の一例として,東北6県および女川層中のPbの濃度分布についてヒストグラム解析を実施した結果を右下図に示します。白抜きのグラフが東北6県中の,黒のグラフが女川層中のPb の濃度をそれぞれ表しています。ヒストグラムを見ると,女川層に含まれるPbの濃度は東北全体の傾向に比べて高濃度側にシフトしており,女川層中の濃度分布が東北6県全体のデータとは異なる傾向にあることがわかります。
            
地質図について,本システムでは深度情報を考慮した検討をめざしています。GISに地質図を入力する際に地質層序を考慮することにより,土壌層の下位や後背地域にどのような地層が存在するかを把握し,べつの箇所で出現した地層同士を関連づけることを可能とするものです。
たとえば,ボーリングコアの分析結果から深さ方向の重金属濃度分布を把握して地質との対応関係を明らかにすることにより,まだ調査されていない地域の重金属濃度を地質図から類推することができるようになります。
現在,地質情報が断片化されている状況においては,一般に対象となる地域の地質調査等のデータしか取得できず,その値のみで種々の判断がなされることが多いです。このことにより,工事開始後に重金属含有土壌のについて計画外の費用が生じることや,土壌汚染対策における自然的原因に関する不公平が生じることになります。このような評価手法を用いることにより,一例としてトンネル掘削時において,周辺既存情報も考慮して土壌の重金属含有量などを把握し、対策時も考慮した適切なルートを設定するための基礎情報として利用することができると考えられます。また,地質に関連する自然的原因による汚染分布とそれ以外の人為的原因による汚染分布とを区分する際の判断材料にもなります。

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